栄養 2026-09-21

ラグビーの増量メニュー|大学生部員のための食事の考え方

「体重を増やせ」と監督やコーチから言われても、具体的に何をどれだけ食べればいいのか分からず、とりあえずご飯の量を増やしたり、プロテインを飲んだりして終わっていないでしょうか。大学ラグビーでは、特にフォワード(FW)を中心に、対人プレーで当たり負けしないための増量が求められる場面が多くあります。しかし、一人暮らしや寮生活、学食利用など、大学生は高校時代よりも自分で食事を管理する場面が増える一方で、自炊の経験や時間、食費には限りがあります。この記事では、公認スポーツ栄養士等が公開している増量食の考え方を整理しながら、大学生プレーヤーが自分の生活環境の中でどう実践していけるかを解説します。

「とりあえず量を増やす」だけでは変わらないことがある

増量というと「たくさん食べればいい」というイメージを持ちがちですが、実際には量だけを増やしても体重や筋肉量が思うように変化しないことがあります。海外の学術誌に掲載されたニュージーランドのラグビーアカデミー所属選手を対象にした研究では、専属のスポーツ栄養士が4週間にわたって継続的にサポートし、タンパク質の摂取タイミングなどを改善したにもかかわらず、除脂肪体重(脂肪を除いた体重、つまり筋肉量に近い指標)には統計的に意味のある変化が見られなかったと報告されています。専門家が付いた短期間の介入でも結果が出るとは限らないという事実は、増量に取り組む学生プレーヤーにとって、むしろ知っておく価値がある情報です。「食べているのに変わらない」と焦る前に、増量は数週間で結果が出るものではなく、継続的な取り組みが前提になると理解しておくことが大切です。

タンパク質はどれくらい摂ればいいのか

増量に関する公開情報では、タンパク質の摂取量についていくつかの目安が示されています。あるスポーツ栄養の専門コラムでは、増量期の目安として体重1kgあたり2.0gという数値が紹介されており、これを超えて摂り続けても健康上のメリットが増えるわけではなく、むしろ過剰なエネルギー摂取は体脂肪の蓄積につながりやすいという注意点も併せて示されています。つまり「多ければ多いほどよい」わけではなく、自分の体重に応じた目安量を意識することが出発点になります。

タイミングについては、運動後30分以内にタンパク質を摂ることが効果的とされており、プロテインドリンクや牛乳、ヨーグルトなど、練習後すぐに摂りやすい食品を活用する方法が紹介されています。練習が終わってすぐに寮や自宅に戻れない場合でも、部室にプロテインの粉末とシェイカー、水またはパックの牛乳を用意しておくだけで、この「30分以内」を実践しやすくなります。

タンパク質の摂り方目安・考え方
1日の摂取量目安体重(kg)×2.0gを増量期の目安とする考え方がある
摂取タイミング運動後30分以内が効果的とされる
摂りすぎの注意点過剰摂取は体脂肪の蓄積につながりやすい
摂りやすい主菜の組み合わせ肉料理+大豆製品(豆腐・納豆)、魚料理+卵料理など毎食2品以上

増量期のエネルギー量とご飯の量の考え方

タンパク質だけを増やしても、全体のエネルギー量(カロリー)が不足していれば、摂ったタンパク質は体づくりよりも先に活動のエネルギーとして使われてしまいます。増量に取り組む際は、普段の食事に対して1日あたり500〜1,000kcalを上乗せすることが目安として紹介されており、この上乗せ分は1食あたりご飯を50g程度増やす、あるいは間食(補食)で補うといった形で分散させると、一度に無理して食べ切る必要がなくなります。

ラグビー選手全体で見ると、1日の消費エネルギーはおおよそ4,000〜5,000kcalが目安になるとされ、一般的な成人の食事量の倍近くに達することもあります。フォワードは体重100kg前後の大型選手が多く、バックスは70〜90kg台でスリムな体格の選手が多いとされており、同じチームの中でもポジションによって必要な食事量には差があります。自分がどのポジションで、どのくらいの体格を目指すのかによって、増やすべき量の感覚も変わってくることを踏まえておくとよいでしょう。

食事の基本構成としては、主食・主菜・汁物・副菜・果物・乳製品の6品を毎食揃えることが理想として紹介されています。すべてを毎食実現するのは大学生の生活では難しい場面も多いはずですが、「今日は副菜が足りていない」「乳製品を摂れていない」といった振り返りの視点として持っておくと、買い物や自炊の工夫につなげやすくなります。

一人暮らし・寮・学食、環境別の実践の工夫

大学生プレーヤーの食事管理が難しいのは、高校時代と違って自分で食事の量や内容をコントロールする裁量が大きくなる一方で、時間・費用・調理スキルの制約もあるためです。生活環境ごとに現実的な工夫を整理します。

「食べるモチベーション」と衛生管理も増量の一部

増量食は量が多くなるため、「また今日もこれだけ食べないといけないのか」という気持ちの負担が大きくなりがちです。あるスポーツ栄養の専門コラムでは、食べることへのモチベーションづくりとして、なぜこの量が必要かを自分自身で理解すること、見た目や味付けに工夫を加えることなどが、消化吸収の効率にも良い影響を与える可能性があるとして紹介されています。増量を「やらされる作業」ではなく、自分のプレーにつながる取り組みとして捉え直す視点を持てると、継続しやすくなるでしょう。

また、増量期は食事の準備・保存の回数が増えるため、衛生管理の重要性も高まります。作り置きした料理を常温で長時間放置しない、調理器具やスポンジを定期的に交換するといった基本的な衛生管理を怠ると、体調を崩して練習量が落ち、結果的に増量の取り組み自体が滞ってしまう可能性があります。せっかくの食事の工夫を無駄にしないためにも、量だけでなく衛生面にも気を配っておきたいところです。

増量への取り組みは個人差が大きいことを前提に

ここで紹介した数値はあくまで目安であり、体格や消化・吸収の個人差、既往歴、練習量によって適切な範囲は変わります。持病がある場合や、急激な体重増加に不安がある場合は、自己判断で極端な食事量に変更するのではなく、部のトレーナーや管理栄養士、医療機関に相談しながら進めることをおすすめします。前述の研究が示すように、専門家がサポートしても短期間で明確な変化が出るとは限らないため、数週間で結果が出ないことに焦る必要はありません。焦って一時的に食事量を極端に増やすよりも、無理なく続けられる量とタイミングを見つけて、長い目で取り組む姿勢が結果的に近道になります。

自分のチームの体格傾向も踏まえて取り組む

増量の目標感は、自分のチームがどのカテゴリーで戦っているか、対戦相手のフォワードがどの程度の体格を持っているかによっても変わってきます。たとえば関東大学対抗戦Aグループの順位表や関西大学ラグビーAリーグの順位表からラグビーマニアの一次データを確認し、自チームが挑む相手のレベル感を把握したうえで、無理のない範囲で増量の計画を立ててみてください。プロップなどフロントローの練習メニューについてはラグビーのプロップ練習メニュー、体づくり全体の考え方についてはラグビーのオフシーズン筋トレメニューも参考になります。

まとめ

ラグビーの増量食は、「たくさん食べる」というだけでなく、タンパク質の摂取量とタイミング、全体のエネルギー量、そして自分の生活環境(一人暮らし・寮・学食)に合わせた実践方法を組み合わせて考える必要があります。目安となる数値はあくまで個人差を前提としたものであり、短期間で結果が出ないことも珍しくありません。焦らず、食べるモチベーションや衛生管理も含めて、自分が続けられる形を見つけながら取り組んでいきましょう。

出典

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